不動産問題

 

第1 はじめに

ここページでは,大きく分けて,①不動産賃貸借(借地・借家)に関する問題,②不動産売買に関する問題について,問題のポイント,当事務所ができること等を説明します。

 

第2 不動産賃貸借(借地・借家関係)のトラブルについて

1 不動産賃貸借トラブルの原因

不動産賃貸借(借地,借家関係)のトラブルの原因は,①貸主(大家さん)の側には,自分の大事な不動産をしっかりと管理したい(不誠実な借主には出て行ってもらいたい)という思いがあり,一方,②借主の側には,不動産は自分の生活の基盤となるものであり,仕事や育児の面からも,慣れ親しんだ場所を移りたくないという思いがあります。このように,お互いの思いが強く,かつ,賃貸借という継続的な関係の中で,このような対立が深刻になりやすい点に,不動産賃貸借の問題はあると考えられます。

 

2 当事務所のできること

⑴当事務所のスタイル

当事務所では,オーナーさんからの相談でも,借主さんからの相談でも,どちらでも対応可能となっています(もちろん,同一の事件で両方からの相談を受けることはありません。)。

また,トラブルが生じた後の相談,トラブルが生じる前の予防策の相談も,ともに対応可能です。

※不動産賃貸借に関するトラブルに関しては,なるべく早い段階で相談に来てください。

例えば,借主の場合,オーナーからの請求への対応に迷って夜陰の滞納が多くなればなるほど,裁判で不利になる可能性が高いです。また,オーナーの場合,不誠実な借主にはなるべく早く退去していただいて新たな借主に入居してもらう方がメリットが大きい場合が多く,借主への対応に肉体的にも精神的にも疲れる前に弁護士にご相談ください。

⑵当事務所の相談内容

具体的には,以下のような相談内容があれば,当事務所にご相談ください。

ア オーナーの法律問題

以下のような問題を抱えている場合,当事務所にご相談ください。

①家賃の滞納が多くて困る。未払家賃を支払って,退去してもらいたい。

②部屋の中に家財道具を残したまま何ヶ月も行方不明になっている。

③借主が勝手に他人に貸しているので、退去してもらいたい。 ④昔からの賃料では賃貸経営が厳しく,賃料の増額を請求したい。

⑤隣人に迷惑を起こしてばかりの借主に出て行ってもらいたい。 ⑥今後トラブルを予防するため,きっちりと賃貸借契約を締結したい。 ⑦一定期間だけ貸して,期間満了時には確実に土地・建物を返してもらえるような契約をしたい

 

イ 借主の法律問題

以下のような問題を抱えている場合,当事務所にご相談ください。

①オーナーからの賃料値上げに納得ができにない。家賃を滞納していたらオーナーから退去するように言われた。

②まだ住み続けたいのに,賃貸契約の更新時に,オーナーから立ち退きを請求された

③オーナーの提示する立退料が安すぎるのではないか。

④立ち退き時にオーナーが請求してきた原状回復費用が高すぎる。

⑤賃料が高すぎるから,減額を請求したい。

⑶弁護士に頼むメリット

いくら不誠実な借主であっても,勝手にその部屋から荷物を撤去して追い出す等の強硬策に出ることはできません。また,いくら不誠実なオーナであっても,賃料を支払わなければ退去が正当化されることもあります。そのため,不動産賃貸借トラブルへの対応については,しっかりと法律を踏まえて,対応することが必要となります。

それは,訴訟による判決だけに限らず,調停や和解,保全処分,判決後の強制執行など,様々な手続・方法があります。これらの手続には,弁護士をつけた方がスムーズかつ効率的に話が進み,その結果,全体としては利益が大きくなるという場合も多くあります。当事務所では,これらの手続に必要な弁護士費用についても,こちらで一方的に決めることはせず,事案の難しさや相談者の経済的状況も踏まえて,きちんと相談に乗りますので,その点は心配なさらずに,ご相談に来ていただければと思います。

 

3 解決の1つの流れ(建物明渡しを請求したいオーナーからの相談事例)

ここでは,家賃の滞納を続ける借主を退去させたい(建物の明渡請求をしたい)オーナーから相談を受けた場合の,よくある解決の流れの1つをご紹介します。

⑴物件と契約関係の調査

まずは,問題となっている物件の状態を調査する必要があります。事案に応じて,登記をチェックするだけで済む場合もあれば,現地に行って部県の状態を把握する必要がある場合もあります。

次に,契約関係をチェックします。賃貸借契約書,重要事項説明書等があればそれらをチェックしますし,何らかの事情でそれらがない場合には,オーナーから詳しく契約時の状況を聞き取ることになります。また,借主の家賃の支払い状況をチェックするため,オーナーの通帳や,請求書,領収書等のチェックをさせてもらうこともあります。

⑵内容証明による催告と交渉

借主によっては,オーナーに弁護士がついた場合に,話し合いや交渉に応じる態度を見せ,裁判手続を行わずに解決できるケースもあります。そのため,上記の契約関係のチェック等が済めば、弁護士はまず内容証明文書を借主に送付し,未払賃料の催告と賃貸借関係の解除等を求める意思表示を証拠に残した上で、交渉を開始します。場合によっては,調停の場で交渉を行うこともあります。

⑶占有移転禁止の仮処分

借主が交渉に応じない場合,訴訟手続を行う必要がありますが。建物明渡しの判決を得る前に、借主が勝手に建物の居住者を他の者に変更させると,借主を相手方として得た判決が無意味になります。 これを防ぐためには,占有移転禁止の仮処分という保全手続を行う必要があります。

この手続を行うことで,借主が多重債務者で夜逃げをした場合や,得体のしれない他人に勝手に部屋に居座らせる可能性が高い場合には,このような保全手続をして,判決の効力を生かせる状態にした上で判決を得ることが必要になります。

⑷訴訟手続(賃料請求,建物明渡請求)

必要がある場合には上記のような保全手続も行い,その上で,もしくは並行して訴えを提起することになります

⑸強制執行手続

勝訴判決を受けても、賃借人や占有者が開き直って任意に明渡さない場合や,賃借人が行方不明の場合などは、強制執行手続によって、強制的に建物の明渡を行う必要があります。この場合の手続が強制執行手続となります。

このとき、未払賃料がある場合は、部屋にある家具や貴重品等をお金に換えて,未払い賃料に充当することなどもできます。

 

第3 不動産売買のトラブルについて

1 不動産売買の際のチェックポイント

不動産売買は高額な取引になることが通常です。したがって,問題が生じた場合には当事務所に相談していただければと思いますが,それ以前の段階で買主自身がきちんとチェックして,トラブルが生じないことを切に願っております。そこで,以下では,不動産売買の際に特にチェックすべきポイントをご紹介します。もちろん,不動産売買契約の前に「この契約書でよいか。」ということを当事務所にご相談していただければ,対応も致します。

①土地売買の場合―土地の境界の明示

売買対象の土地の範囲

土地の売買取引では、買おうとしている土地は具体的にどこからどこまでの範囲なのかを確定させることが最も重要となります。この点を曖昧にしたまま買ってしまうと,後々,隣人と土地の境界についてトラブルになり,境界確定訴訟等の訴訟によって長期間争うことにもなりかねません。

契約条項のポイント

土地の売買においては,土地の引渡しまでに、売買の目的となる土地の境界を明示する義務を売主に負わせるのが一般的です。すでに境界標が設置され,境界が明確な場合には問題となりにくいが,そうでない場合には,やはり、契約書において,売主が境界標を新たに設置すべき義務を負うこと,境界確認書を作成する義務を負うこと,隣地所有者の拒否や不同意により、これらの義務が果たせない場合には,買主は契約を解除できること等を定めておくことが必要になる場合もあります。事案によりリスクの大小は様々でしょうが、可能な限り、境界の明示ができない場合に備えた規定(例えば、境界が不明確でも代金の決済をするのか、買主に解約権利を認めるのか。)も設けておいた方がよいでしょう。

②手付解除の条項

解除権行使期限が日付で特定されているか

手付解除の可能な時期については民法において定めがあり,相手方が「履行に着手するまで」とされています。例えば,買主が購入資金の融資申し込みを金融機関に行ったとか,売主が引越先の他の不動産の契約を行った,といったような事情があれば「履行に着手」したと判断できる場合が多いです。

しかし、「履行に着手」したと言えるのか否どうかの判断は難しく,その点を巡って紛争が生じることが多くあります。このため、紛争を未然に防止し、両当事者の公平感を保つためには、契約書上、手付解除の期限は日付で特定しておくのが望ましいと考えます。

③ローン特約条項

融資の申込先が限定されているかどうか

買主が不動産の購入資金として金融機関などの融資を利用する場合、買主が融資を受けられない時に備え、契約が当然に解消されると定めたり(解除条件型),買主が契約を解除できると定めたり(解除権留保型)するケースが多くあります。一般に、このような契約書における特別な規定をローン特約条項といいます。

不動産売買契約書にローン特約条項を設ける場合、「融資の申込先は,A銀行とする。」「その融資について○年○月○日までにA銀行の承認が得られない場合には・・・」というように,契約書で申込先を限定し、期限を日付で特定しておくのが望ましいでしょう。

特に買主としては、例えば「A銀行もしくはB銀行等」という記載では、C銀行やD銀行にも融資申込をしなければ解除できないようにも読めてしまいます。また、もし「金融機関」としか記載がなければ、どこまで断られたら解除ができるのか検討もつかなくなってしまいます。これでは特約を設けた意味がなくなりかねません。

④瑕疵担保責任に関する条項

売主の免責事項に注意を

瑕疵担保責任とは、売買契約の目的物に一定の欠陥があり、それが通常の注意を払っても気づかないようなものである場合に、売主が買主に対して負う責任をいいます。

不動産売買契約書では、売主の瑕疵担保責任について、責任を負う期間を限定したり、責任を免れるための特約が設けられるのが通常です。したがって,事前に注意して検討しておくことが必要でしょう。

特に、全ての瑕疵担保責任ついて一律に免責したりするケースでなく、一定の事項についてのみ瑕疵担保責任を残すケース(※)では、その事項に何が含まれて含まれないのか、事前に検討しておくことが重要です。

※「売主は○○に限り瑕疵担保責任を負う。」、「売主は瑕疵担保責任を負う。ただし○○は除く。」というようなケース

⑤容認条項

容認条項はできる限り具体的に

容認事項とは、「売主が把握している目的物件のデメリットの部分を示し」、「買主がこれを事前に了解して購入する」ということを明確にするために設けられる規定です。例えば,「本物件周辺は第三者の所有地であり,将来,高層建築物の建築によって周辺環境,景観,眺望及び日照条件等が変化することがあります。」といったような規定です。通常、容認事項に記載され,買主が容認した事項については,仮にその事実が発生しても,売主は瑕疵担保責任を負わないこととなります。

このため、契約書に容認事項を設ける場合には、その内容をきちんとチェックし,不明確な記載の場合にはできる限り具体的に記載するよう要求するべきです

2 契約後にトラブルが発生した場合

不動産(土地・建物)は、個人にとって重要な資産であると同時に生活の基盤となるものです。それだけに、上記で述べたような事前のチェックが重要になります。しかし,トラブルは避けたくても避けられずにひとたび法的なトラブルに巻き込まれると、その影響も大きなものがありますので,なるべく早く当事務所に相談に来ていただき,解決のための最も適切な方法を見つける必要があります。